【「みんなちがって、みんないい」が満載！】

ストーリーは？なになに・・・父ライオン「サムソン」が息子「ライアン」を探して旅をする？
父親が自分の先入観やプライドにとらわれながらも、紆余曲折のすえ息子と向き合えるようになる・・・と思ってのんびり見ていたら、それだけじゃなかった。

もちろんある種の「父親像」が「サムソン」を通して描かれてはいる。けれどそれ以上に、2匹をとりまく他の動物達がすごい。
なにがすごいって、それぞれが何かしら救いようのない「欠点」をもっているのだ。

けれど憎めない、愛すべき「ヘタレ」キャラ達の珍道中。
その動物達に、自分や子ども、知人のキャラを重ねては、「みんな違って　みんないい。（by金子みすず）」的オチに浸れるストーリー・・・それが映画『ライアンを探せ』なのだった。

なかでも注目のキャラは、コアラの「ナイジェル」。その可愛らしいぬいぐるみも動物園で大人気。けれど当の本人は、カワイイと言われるのが大嫌いなひねくれ者。毒舌と皮肉で扮装し、見た目もなんだか酔っ払いのオヤジみたい。

この映画を見るまで気付かなかったけど、よ～く見ると、実はコアラってなんとも奇妙な顔をした動物だったんですね？特に鼻がヘンだ。
ともあれこの映画では、その奇妙なコアラ「ナイジェル」と「ぬいぐるみ」が話の端々に登場し、実は最後までストーリーの鍵を握っているから見逃せない。

日本語の吹き替えも聞き逃せない。
よーく聞いていると、珍妙なカメレオンのスパイコンビを人気お笑いコンビの「オリエンタルラジオ」が担当している。
監督はスティーブ・ウィリアムズ。
あの『ターミネーター２』で人が水銀のように「液状メタル化」するシーンや、『ジュラシックパーク』の恐竜のアニメーションを手がけた人物。
そのCGの完成度の高さは、「CGを見た」という印象はもはやなく、映像に「バーチャル」も「リアル」も無くなったのね？という感じ。
ライオンの毛並み、うっとりするほど綺麗だった・・・

この映画、父と子で見に行くといいかも？
欠点があっても、格好悪くても、人間味のあるお父さんがいいのよ。力を抜いていいのよ、と。

で、もちろん映画の間はお母さんが力抜かせていただくってことで。（笑）
text by...  カフェイン中毒

2006/12/13